アナログ原型師が原型を完成させる方法【情報の密度が高い部分を仕上げる】

【保存版】煮詰まった原型を完成させる方法では3つのクオリティを上げる方法を紹介しました。今回はその中で情報の密度が高い部分を仕上げる方法についてご紹介します。

1 情報の密度の高い場所を探す

密度の高い場所を見つけます。密度の高い部分は自然と視線が集まります。
まず原型を見て視線の止まる部分を見つけます。写真の右にマーカーで印を付けました。

イルカがせめてきたぞっ
2022年2月6日にワンダーフェスティバルで販売予定の小松崎茂氏作画のイルカがせめてきたぞっ!の原型です。

2 構造を紐解く

どういった構造なのか形を頭で整理します。
例えばベルトのバックルですとベルトを見て形を整理します。なぜバックルはベルトを固定できるのかを形を見ながら確認していく作業です。身近にありふれた物でも、どんな構造なのか説明して下さい。と言われると答えにくいものです。

イルカがせめてきたぞっ

上段が単純に描いた図 下段が構造を整理して描いた図
見えない部分もどうなっているか理解する事で理解が深まります。

3 作る

整理した形を作る方法を選んで試します。
私はこの4つの方法から選んで作業に移ります。
・フリーハンドで作る
・使いやすい道具を使う
・パーツを組み合わせる
・デジタルモデリング
それぞれの工程で利点と不得意な部分があります。合うと思う方法を選んで試します。もし上手く行かなかったら、この4つで試していない方法を選んだり組み合わせます。

まとめ

イルカがせめてきたぞっ

私の恩師であるアトリエ・フジタの藤田欽平先生から貰ったお言葉を思い出しました。「物を描くということは理解すること。観察すること。」リアルかデフォルメかは関係無く物の構造を理解する事は作品を見る人に説得を与えると私は思います。

人は意識せずに細部を見て印象を感じ取っています。ただそれを作れるか否かはどれだけ観察出来るかにかかっていると思うのです。作品を見て魅力的かどうかは、作者がどれだけモチーフに真摯に向き合って観察したかという軌跡が作品にそのまま形になるのだと思います。

特徴のつかみ方とよくある勘違い」こちらの記事でもご紹介しましたが物をよく観察することが大切です。

2月に浅草で開催する「日本一早く“3日間”で原型からガレージキットを作る初心者向け教室」では今回の記事でご紹介した方法を生徒さんのモチーフに合わせてご説明いたします。

浅草で2月11日〜13日開催の教室はありがたい事に残りお1人様となりました。先着順ですので参加ご希望の場合はお早めのご予約をおすすめいたします。

3月に大阪でも催予定です。詳細が決まり次第こちらでお知らせいたします。