「どうして教室を始めたのですか?」
そんな質問をいただくことがあります。
今回は、その問いにあらためて向き合い、私自身の思いや背景について少しお話しさせていただこうと思います。
正直なところ、最初のきっかけは“生活のため”でした。
私の夫・北原功士は作家活動として出版準備を進めていました。内容はフルカラーのハードカバー。印刷費だけでも100万円を超えるような、非常に高額なものでした。
彼の活動を支えるために、私にも何かできることはないかと考えたのが始まりです。
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教えるということの原点
振り返ると、大学時代に美術系予備校で講師のアシスタントを務めたり、カルチャーセンターでデッサンのクラスを担当していた経験がありました。
人と関わりながら何かを伝えること、場を整えることは、当時から自分にとって心地よいものでした。
「教室なら自分にもできるかもしれない」
そう感じたことが、現在の活動につながっています。
すべての工程を体験できる教室を
最初に夫へ相談したとき、「全部体験できるのが一番楽しい」と言われました。
“ガレージキットの原型から複製まで”を通して学べる教室。最初は、あまりにも無謀なアイデアに思えました。
ガレージキットの制作は、通常は何日、あるいは何ヶ月もかけて進めるものです。
それを3日間で完結させるというのは、簡単なことではありません。
けれども、初めて挑戦される方の立場に立って考えると、短期間で全体を通して体験できる構成は、非常に魅力的なものになるのではないかと感じました。
初めての教室と、そこから得た学び
2022年2月に、初めての教室を開催しました。
1日目に原型を作り、2日目にシリコン型を作成し、3日目には複製を行います。
今だから言えるのですが特に2日目の作業は大変で、受講者の皆さまが帰られたあとも手伝ってくれていた友人のスタッフと夜遅くまで作業を続けていました。
翌日の進行に支障が出ないよう、必死で準備を整えたことをよく覚えています。
あの初回の経験は、いま振り返っても多くの学びが詰まっていた時間でした。
当時の教室開催レポートはこちらでご紹介しています。

「楽しい」が、ものづくりを続ける力になる
私の教室では、「楽しい」という感覚を何より大切にしています。
初めての体験が楽しいものであれば、のちに一人で作業する際にも前向きに取り組めるはずです。
失敗しにくい方法、達成感を感じやすい流れ、作業を支える道具──
そういった細かな部分も含めて、受講者の皆さまが安心してものづくりに向き合えるよう、常に工夫を重ねています。
時間を共有し、仲間が生まれる場に
教室に参加された方の中には、その後ご自身で作品を仕上げ、ワンフェスへの出展に挑戦された方もいらっしゃいます。
私自身もご一緒させていただき、出展のサポートを続けています。
ものづくりを通して出会い、時間を共有し、同じ目標に向かって並んで歩ける方々と出会えること。
それは、教室を開催していて何より嬉しいことのひとつです。
無理に通い続ける必要はありませんし、ご自身のタイミングでふと戻ってきていただける、そんな自由で温かな場でありたいと考えています。
おわりに
教室を始めた当初は、自分にできることを模索しながら、収益を生むための手段としてのスタートでした。
けれども今では、「誰かと一緒にものを作る」時間そのものが、大切な宝物になっています。
完成したときの笑顔、失敗しながらも挑戦し続ける姿、
そして、ものづくりの魅力を共に感じられること──
これからも、そんな時間を一人でも多くの方と共有できたらと願っています。
📣2025年8月開催|教室のご案内
8月に東京で2つの造形教室を開催します。
・ガレージキット教室:8月9〜11日 開催

・ソフビ人形教室:8月16・17日 開催

詳しくはリンクの教室案内ページを御覧くださいませ。
ご参加を心よりお待ちしています。
📩 教室やソフビ制作に興味のある方は、LINEでもご相談いただけます
👉 https://lin.ee/aKpeFai