自分の作品として初めて販売したのは、2018年夏のワンダーフェスティバルでした。
「相馬の古内裏(そうまのふるだいり)」という、歌川国芳の浮世絵をモチーフにしたガレージキットを出展したのが始まりです。
その後にフィギュア原型師としてゲームの可動フィギュアなどを制作していました。
そこから何年か、妖怪や怪奇をテーマにした作品を作り続けてきました。
ありがたいことに作品を楽しみにしてくださる方々が毎年足を運んでくださるようになりました。
でも、あるとき自分の中に限界を感じる出来事がありました。
ガレージキットの生産に限界を感じた瞬間
一番反響をいただいたのは、「イルカがせめてきたぞっ」という作品です。
小松崎茂先生のイルカを立体化したこの作品は、キット版と完成品の両方を販売しました。

でも——完成品を大量に仕上げるのは、思った以上に大変でした。
キットであれば少数の生産でも成立しますが、完成品となると話は別です。
バリ取りや合わせ目消しといった下処理、塗装などの手間がとてもかかり、ひとつひとつの作業に時間を要します。
その結果、利益は出づらく、人手を増やしても追いつかない——そんな悩みを抱えるようになりました。
さらに、レジンの硬い素材は扱いが難しく、塗装面が剥がれたり、管理も繊細になります。
丈夫で量産しやすい「ソフビ」への可能性
そんな中で思ったのが、
「もしこれがソフビ人形だったら?」
ということでした。
ソフビ(ソフトビニール)は、投げても壊れず、塗装も丈夫。
量産のために最初の金型づくりには費用がかかりますが、一度整えば安定した数を生産でき、完成品としての提供にも適しています。
「これなら、もっと多くの人に作品を届けられるかもしれない」
そう思ったのが、ソフビ制作に挑戦しようと思ったきっかけです。
私のように悩む作家さんに向けて
私は、ソフビを作りたいと思ったとき、「どこに相談すればいいのかわからない」という状態でした。
情報もなく、頼れる人もおらず、すべてを手探りで始めるしかありませんでした。
だからこそ、今、私自身が「昔の私のような人の力になれたら」と思い、
原型から量産まで一貫して体験できるソフビ人形教室を開いています。
教室で体験できること
この教室では、以下の5つの工程を体験できます。
- 原型づくり(粘土または3Dプリント)
- 成型
- バリ取り
- 塗装
- 組み立て
事前にLINEなどでデザインのご相談も承っているので、安心してご参加いただけます。
また、ソフビならではの「設計上の注意点」や「できる/できない形状」についても、次回の記事で詳しくご紹介していく予定です。
おわりに
作品を届ける手段はひとつではありません。
ガレージキットも素晴らしい文化ですが、「もっと丈夫に、もっと遠くまで、作品を届けたい」と思ったとき、ソフビという選択肢があることを知ってもらえたら嬉しいです。
そして、かつての私のように悩んでいる方がいたら、少しでも力になれたらと思っています。
📣2025年8月開催|教室のご案内
8月に東京で2つの造形教室を開催します。
・ガレージキット教室:8月9〜11日 開催

・ソフビ人形教室:8月16・17日 開催

詳しくはリンクの教室案内ページを御覧くださいませ。
ご参加を心よりお待ちしています。
📩 教室やソフビ制作に興味のある方は、LINEでもご相談いただけます
👉 https://lin.ee/aKpeFai