ソフビ人形の制作は、一見すると「工場で機械的に作られているもの」と思われがちですが、実は一つひとつが職人の手で丁寧に作られています。
今回の記事では、私の工房で実際に行っている「成型」の工程について、写真や実体験を交えてお話しします。
ソフビ人形の「成型」とは?
成型とは、金型にソフビの材料(ゾル)を注ぎ込み、熱で成形する工程のことです。
金型の構造と材料の注
金型はこのようなものです。
この穴一つひとつが、ソフビ人形のパーツの形になっており、そこに液状の材料を注入します。

脱泡処理(気泡を抜く作業)
なぜ脱泡が必要?
材料をそのまま流し込むと、空気が入り込んで気泡ができてしまいます。
なので、加熱する前に材料の入った金型から気泡を抜く脱泡処理を行います。
方法は2種類
- 遠心脱泡
- 真空脱泡
私の工房では基本的に真空脱泡を行っています。
真空チャンバー内で材料と型を減圧すると、材料中の気泡が浮上し、抜けていきます。


加熱工程と「仮焼き」
脱泡が完了したら、次は「オイルバス」で加熱します。
ここで一度材料の表面を焼き固める工程があり、これを「仮焼き」と呼びます。
- 仮焼き時間が長い:厚みのあるパーツに
- 仮焼き時間が短い:薄く軽い仕上がりに
※オイルバスのの周りに見える白いものはオイルが冷えて固まったものです。

材料の戻しと本焼き
仮焼き後、型をひっくり返して余分な材料を戻すと、型の内側にソフビの膜が残ります。
これが実際の成型品になります。

その状態のまま再びオイルバスに戻して「本焼き」を行い、完全に形を固定します。

冷却と引き抜き
焼き終えた金型は冷却します。
冷えたあと、ソフビパーツを引き抜く作業が行われます。

ここで傷や変形がないかを確認しながら、1つずつ丁寧に仕上げていきます。
型の形状によってはどうしても抜いた時に傷が出来てしまう場合もあります。
その場合は後処理で改善可能かどうかを検証し、お客様と情報共有を行います。
改善可能な場合は金型を部分的にヤスって修正することもあります。
ソフビ成型は、職人の経験と勘が活きる工程です
ソフビ人形の成型は、見た目以上に繊細な作業です。
一見すると簡単そうに見える作業かもしれませんが、
実際にはその時々の条件を見極め、微調整を重ねていく必要があります。
湿度、湿度、金型の形状、そして材料の状態——
この4つのバランスが崩れると、うまく形にならないこともあります。だからこそ、怪奇工房はは日々改善を重ねて取り組んでいます。
ひとつひとつの手作業に神経を注ぎ、
何度も試して、ようやく理想のかたちが生まれる——
この「成型」という工程には、ものづくりの醍醐味がぎゅっと詰まっていると感じます。
教室で成型体験もできます!
私が主催する「原型から完成まで体験して学べるオリジナルソフビ人形教室」では、この成型工程も体験していただけます。
- 原型づくり
- 成型(今回ご紹介した工程)
- バリ取り
- 組み立て
- 塗装
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おわりに
ソフビ成型は決して簡単ではありませんが、だからこそ奥深く、楽しい工程です。
この記事が、これからソフビ制作に挑戦したい方の参考になれば嬉しいです。
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